東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 坂本・松村研究室
研究分野

■坂本研究室
他の構造研究室と異なり、これまであまり日の目を見ずに経験的に用いられてきた技術を実験・調査を通して工学的に理論づけることを目指しています。

最近では、次のようなテーマに取り組んでいます。

○建築各部構造の構法と性能に関する研究/Constructionand Performance of Building Elements
その要求条件に対応した構法はいかにあるべきかを、研究しています。特に、非構造部材の耐震性について、理論的・実験的研究を行うとともに、被害や構法の実態の調査、設計方法の検討などを行っています。(兵庫県南部地震におけるカーテンウォールの被害調査とその分析・石張外壁の耐震設計法の検討)
また、さまざまな要求条件を総合的に満たす各部構造の構法の実現方法について、 歴史的・社会的背景の検討や、技術的内容に関する実態調査を通じて、一般的な方法論の構築をめざしています。(住宅の性能表示・事務所ビルの性能設計の検討)

○木造建築の構法と構造に関する研究/Construction and Structure of Wooden Buildings
我が国の木造建築には、文化遺産としての伝統的木造建築や多くの戸建て木造住宅のほか、最近では規模の大きい現代的な木造建築も増えてきており、これらに対して、以下のような研究を行っています。

1.民家や社寺建築のような伝統的木造建築の構造特性に関する文献・実地調査および実験的・理論的研究。(組物に関する研究・錦帯橋に関する研究・重要文化財の耐震補強)
2.戸建て木造住宅の構法と構造に関する調査・分析。(実大木造住宅の振動台実験による検討)
3.現代的構法による木造建築の力学的挙動に関する実験的・理論的研究と新しい構法の開発。(高層木造建築の可能性)

(腰原幹雄/2002.09.17)

■松村研究室
主に建築構法、建築生産の問題を、歴史的な変遷から今日的な開発、あるいは戸建住宅から宇宙建築まで幅広く扱っています。基本的には、研究室の構成メンバーである大学院生の自発的な研究テーマの設定を歓迎していますが、研究室全体としての大きな流れはあります。

旧内田祥哉研究室の流れを引き継ぐ形で、1986年に研究室の活動が始まってからしばらくは、20世紀の建築・住宅の工業化・システム化の歴史、都市型住宅の生産システム、設計-施工のインターフェイス、新たなシステムズビルディングや建築部品のあり方等を中心に研究を進めていました。

近年は、そうした研究活動の成果を踏まえつつも、研究の中心的なテーマが、既存の集合住宅やオフィスビルの再生・コンバージョン手法、長期に亘る居住地運営を可能にする権利関係調整手法、世界の在来構法、建築設計業・建設業・部品製造業の将来像、宇宙建築といったところに移ってきています。これら最近のテーマの多くは、旧来の「建築構法、建築生産」というカテゴリーに納まらない観点を含みますが、そうした過去の枠組みからはみ出ていく知的な好奇心こそ新たな研究活動のエネルギーに繋がると考えています。

(松村秀一/2002.09.11)

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